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手紙 東野圭吾著

 

手紙 東野圭吾著


原作:東野圭吾

出版:文藝春秋(文庫本)428ページ

発売:2006/10


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本格推理から学園ミステリー、パロディー小説や絵本など、さまざまな作風で読者を魅了しつづける著者「東野圭吾」が、本書「手紙」でテーマに据えたのは、犯罪加害者の家族。


犯罪が、被害者や加害者だけではなく、その家族にまで及ぼす悲しい現実を見据えた意欲作である。


殺人犯の弟という運命を背負った高校生が成人し、やがて自分の家族を持つにいたるまでの軌跡を、大げさなトリックやサスペンスの要素を用いることなく、真正面から描ききっている。


武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。

判決は、懲役15年。


それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。


一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。


日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。




レビュー1


読後、小説から本の帯に抜粋された言葉をあらためて読んだ。


納得したくないのだけれど、納得せざる得ないのか?微妙な感覚に、いまだに頭を整理できずにいる。


すごい本を読んでしまった。


学校の道徳のテキストや新聞掲載の小随筆などには絶対に出てこない現実を突き付けられて戸惑いを覚えながらも、頷きながら読むしかなかった。


殺人犯であり服役中の兄のため、主人公である弟が社会的に様々なものを失い、兄の犯罪が自分のためのものであった故にこそ、一層苦しみ、社会、そして兄を憎む姿は、切なく辛い。


しかし筆者「東野圭吾」は筆を緩めることなく、これでもか、これでもか、と主人公を苦しめ続けるのだ。


そして兄との完全な別離。


犯罪加害者の身内の真の痛み、苦しみとは、またその社会的な必然性とは何か。


最後の場面はあまりにできすぎていた感は拭えないが、きれいごとではない現実を深くえぐった作品であった。


レビュー2


この本「手紙」が発売された当初に人に借りて読みました。


それからずっと心に残り続けた本でした。


そしてついに自分のものにして、今また読み直しました。


とても素晴らしい本です。


犯罪者の兄を持つ弟が、社会の中で強盗殺人犯の弟として、いわれのない差別を受け続けます。


自分は何もしていないのに、夢も諦めることになり、好きになった人と一緒になることもできない。


理不尽極まりない社会に憤り、兄を恨み、社会を恨み・・・。


読みながら自分も差別をし続ける世の中に憤り、腹が立っていました。


ただ犯罪者の兄がいるだけで彼自身は何もしていないのに、なぜそうまで将来を閉ざされ、差別を受けなければならないのか、と。


しかし、読み進む内に悲しくも自分の中にも人を差別する心があること、異なる者を排除しようとする心があることを知ることになりました。


小説「手紙」では、彼の勤め先の社長の言葉として、社会の差別について語られます。


とても説得力のある言葉でした。


きっと真実だからでしょう。


世の中の人は大概が幼い頃から差別はいけないものだと教えられます。


だから例えば、この小説のように犯罪者を家族に持つ人が自分の周りにいたとしたら、差別をしてはいけないと思ってしまう。


その感情こそが差別である。


考えてみればわかることでした。


しかし、あまりに差別はいけないと教えられてきたので、その感情に無意識に蓋をしていたようです。


それを改めて目の前に突きつけられました。


差別のある世の中を直貴は、苦しみながら受け容れます。


そして直貴の決断を非情だとも思える手段で兄にも突きつけます。


しかし、それこそが罪を犯した人の償い。


罪の重さなんだと深く納得でき、また罪を犯すことの怖さを理解しました。


とても悲しく、深く、重い作品に違いないのに、読後とても満たされた気持ちになり、鮮やかな印象を残すのはなぜなんでしょう?


その理由は、作者「東野圭吾」が用意していた最後のサプライズ、それにありそうです。




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