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原作:東野圭吾
集英社(単行本)
前作「秘密」で、温かくて切ない物語を紡いだ東野圭吾が、今回の「白夜行」では読む者の心を冷え冷えと切なくさせる。
「白夜行」は1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。
最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。
この物語「白夜行」の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。
当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。
2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。
「白夜行」は当然ミステリーだから謎が隠されているわけだが、真相は途中で暗示されてしまう。
しかし謎の存在などどうでもよくなるほどのスケールの大きさが読後に残る。(石飛徳樹)
レビュー1
東野圭吾さんの作品を読んだのは、江戸川乱歩賞を受賞した「放課後」という作品につづき、「白夜行」が2作品目です。
現在TBSで放映中の「白夜行」というドラマに影響され読みました。
多くのドラマが、原作をたたき台にしつつも、原作とは違う物語の展開になることが多いように、「白夜行」の場合も、細かい点で原作とドラマとの違いが見受けられました。
ドラマの場合、はじめから主人公である亮司と雪穂との関係性がはっきりと描かれていますが、原作の「白夜行」ではある程度話が中盤にさしかかかってこないと2人の接点がほとんどわかりません。
ドラマでは、ゆがんだ愛情ながらも、雪穂と亮司、そして2人をとりまく人たちとの心の葛藤や苦悩が描かれていますが、原作の「白夜行」では、亮司と雪穂の心情(本心)を、本人の口から語らせることなく、周囲の人たちが推理していくという手法を使っているため、彼らが何を考え自滅かとも思える行動にいたるのか、推察するのが難しい。
その推察するのが難しい点が、かえって本格的なミステリーとしての本作品「白夜行」の真骨頂なのかもしれません。
様々なトリックや伏線、「偶然」と「必然」が織り成す人間関係を堪能できるのは、原作の「白夜行」が秀でていると思いますし、罪意識がありつつも、ゆがんだ愛を貫く、哀しくもせつない亮司と雪穂の愛情表現を堪能するのには、映像美とあわせ、ドラマが優れているように思いました。
もしドラマをご覧になっていらっしゃらないかたは、原作の「白夜行」を読んだ後にドラマを見ると、また違った角度から楽しめるのではないかと思います。
レビュー2
東野作品の中でも、圧倒的な力で読者を引き込み、試し、疲れさせる・・・こんな作品は初めてで、魂が震える思いで必死に読み続けました。
間違いなく、私の中では「白夜行」が最高傑作です。
物語の舞台が、昭和40年代。
雪穂や亮司は、私とほぼ同い年です。
貧しいながらも、人々の活気に溢れ、何となく煤けた町や駆け回って遊んだ頃を思い出しました。
遊び道具はあまりなくても、周りの大人たちの温かさがあったように思います。
しかし、「白夜行」の主人公たちの生活は、あまりにも荒んでいる。
「愛情」などという言葉の欠片も感じられない。
周りの大人たちも何処かがおかしい。
この不気味さは?と読み進めると形容しがたい恐ろしさが、否応無しに襲ってくるのです。
作者「東野圭吾」が、肝心な部分は読者の想像に任せて、決して主人公の気持ちを言葉では表さないという手法は、正に圧巻でした。
雪穂は、端から見れば、成功の階段をどんどん上がって行きます。
しかし、どこまで行っても「過去」がついてくる。
それは、彼女の常軌を逸した警戒心から感じ取ることができました。
雪穂も亮司も非情で冷酷です。
でも、それだけでしょうか。
彼女と彼を、長い期間結びつけていたのは、亮司の贖罪か、歪んだ愛か、雪穂が亮司をただ利用しただけなのか・・・そこは、どうしても解かりません。
何回読んでも解からないでしょう。
雪穂の手作りのポーチの刺繍も、後にオープンした店の名前も「R&Y」。
何故か涙が止まりませんでした。
とてつもなく重い小説を読んでしまいました。
しばらくは、「白夜行」が心から離れないと思います。
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